常連さんも一見さんもいらっしゃい。入谷の寒天専門店「あんみつ あいば」

入谷は、都内有数の観光地である上野と浅草に挟まれたエリアです。
今回は、入谷エリアの中でも大きな道路の1つ、言問通り沿いの寒天屋さんに伺いました。「あんみつ あいば(会場商店)」さんです。

「一見さん」にも優しい老舗

こちらが外観です。いかにも老舗といったたたずまいですね。
看板を見ると、「材料」「製造卸」という言葉が目につきます。入谷駅に向かう途中、通りかかるたびに気になっていたのですが、業者さん向けのお店にも見えるので、実は少し入るのをためらっていました。

しかし好奇心と食欲には勝てず、「一見さんお断りだったらどうしよう……」とドキドキしながら入店。すると拍子抜け。とても優しい笑顔の奥様が出迎えてくださいました。ちゃんと一般向けのメニューも並べられています。

ところてん、ぎゅうひ、あんみつ、くずもち……。迷っていると、大きなタッパを持ったお客さんがいらっしゃいました。

「これ、お願いします」とたった一言で注文。しばらくして、奥の工場から作業服姿の店員さんがタッパを寒天でいっぱいにして戻ってきます。常連さんらしく、お客さんも店員さんも手慣れた様子です。看板に書いてあったように、製造卸としての顔も確かに持っているのですね。

常連さんが帰った後、迷った挙句に「あんみつカップ」350円と、「くずもち2人前」310円を注文しました。

ひそかに愛され続ける確かな味

「あんみつ あいば」さんは大正7年に創業し、元々は寒天の製造と浅草の甘味処などへの卸しを中心におこなっていました。

現在のように個人客にも販売するようになったきっかけは、ご近所さんの評判。近所の人が立ち寄ってお土産にと持ち帰ることがしばしばあり、それがおいしいと口コミで広がって小売の要望が出るようになったそうです。まだSNSなど普及していない時代にすごいことですよね。

現在はインターネットで通販もおこなっています。防腐剤不使用、無添加の寒天の専門店は珍しく、「遠方の知人にも送りたいから」とクール便で注文するお客さんも多いようです。

価格がお手頃なので送料が割高になってしまうそうですが、それでも食べたい、食べてもらいたい味なのですね。
お話を伺いながら、紙袋の中のあんみつとくずもちへの期待が高まります。

私もまたリピーターに……

帰宅後、さっそくあんみつとくずもちを食べてみました。

「あんみつカップ」はカップの中に寒天とえんどう豆、その上にこしあん、ぎゅうひ、フルーツが分かれて入っています。別添えの黒蜜をかけていただきます。

寒天はシャッキリとした歯ざわりで、後味に天草の香りが残ります。ふかふかしていて少しほろ苦いえんどう豆と、しっかり甘い黒蜜との相性が抜群です。スプーンを付けてもらえるので、出先で食べたいときにも便利です。

「くずもち」は大きな棒状のくずもちを切って、同封のきなこと黒蜜をかけていただきます。
葛粉ではなく小麦粉からつくられた関東流のくずもちは初めて食べたのですが、クリーミーでまろやかで、とてもおいしい!もっちりしていながら喉越しがよく、何個でも食べてしまいそうです。

どちらも黒蜜は別で入っていたので、甘いものが苦手な方も調節して食べやすそうです。材料それぞれか、セットか、好きな買い方ができるのも製造卸売店ならではのうれしいポイントですね。

私は今回あんみつに入っていたぎゅうひとえんどう豆がとても気に入ったので、今度はそれぞれ単独で買いに行こうと思っています。好きな材料を増やして、カスタマイズしたあんみつを作るのも楽しそうですね。そして、今回は買えなかったもう1つの看板商品、ところてんも忘れずにトライしなくては。

最初こそ恐る恐る入店した私でしたが、もうリピーター確定です。地元民に愛され続ける寒天屋さん。お花見のお供に、ヘルシーなお土産に、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

あんみつ あいば(会場商店)
住所:東京都台東区松が谷4-27-15
アクセス:東京メトロ日比谷線 入谷駅徒歩3分
電話番号:03-3844-0382
定休日:水曜、日曜
営業時間:9:30~17:00
通販サイト:anmitsuaiba.base.shop/

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。