南千住にある「素盞嗚神社」は、荒川区で最大の氏子区域を持つ神社です。
素戔嗚大神と飛鳥大神を御祭新としているのですが、一体どんな御利益のある神社なのでしょう。
さっそく出かけてみたいと思います。
6月は年に一度のお祭りです
境内の入り口には、天王祭と書かれた提灯が掲げられています。
天王祭ってなんだろう?
素盞嗚神社に祀られている素戔嗚大神は天照大神の弟。ヤマタノオロチを退治したといえば、ピンと来ますでしょうか。天王祭は、その素戔嗚大神の別名「お天王さま」を祀って毎年6月に疫病退散や子孫繁栄を祈願するお祭りだそうです。
スサノオノミコトと茅の輪
でも、なぜ疫病と結びつくのでしょう。
境内にある説明書きに興味深いことが書かれていました。
“スサノオノミコトが遠い村へ旅をしたときの事。疲れ果て衣服も汚れた姿で、村人に宿を乞います。みすぼらしい姿を見て受け入れるものがいない中、自身が貧しいながらも心良く受け入れて精一杯のもてなしをした若者がおりました。スサノオノミコトはお礼として「疫病が流行った際には茅の輪を腰にくくりつけていなさい。そうすれば家族は助かり、後の世まで子孫が栄えるでしょう」と伝えます。その後本当に疫病が流行し、茅の輪をつけていた家族は助かった”というお話です。
それ以来、その若者の名前、蘇民将来(そみんしょうらい)は後まで伝えられ、今でもお祭りの時には「蘇民将来子孫繁栄」と唱えるそうです。
なるほど、素盞嗚神社が天王祭で疫病退散を願う意味がわかりました。今でも境内に茅の輪が設けられるのも、そのような意味があったのですね。
疫病退散、まさに今願いたいことです。願い事は今も昔も変わらないものなのですね。
文人との深い関わり
一方、この土地は松尾芭蕉にゆかりのあったことはご存知でしょうか。奥の細道の紀行文によると、芭蕉は隅田川を北上し、この千住より奥州への旅立ちをスタートさせたのです。「行く春や魚啼魚の目は泪」の句とともにこの場所に句碑があり、千住大橋のミニチュアがあるのも風情があって楽しいです。
そして子どもたちの学び場として、子ども俳句教室の句が献句されており、文人との深い関わりを伺うことができます。
絵になる大銀杏と傘みくじ
その他にも、子育て祈願の大銀杏やカラフルで楽しい傘みくじなど見どころが満載です。
歴史に触れ、文化に触れ、神様の宿る場所、それがこの素盞嗚神社です。
今年の天王祭は茅の輪をくぐりましょう
本来ならば、3年に1度の例大祭が行われる年ですが、残念ながらコロナウィルス感染拡大防止のため御神輿や露店は控えることになっています。ですが、スサノオノミコトが伝えたという茅の輪くぐりはあるようです。6月1日から境内に大きな茅の輪が設けられるようですので、無病息災、疫病退散を願って改めて来てみたいと思います。
皆様もぜひ、疫病退散祈願に訪れてみてはいかがでしょうか。
素戔嗚神社
住所:東京都荒川区南千住6-60-1
アクセス:東京メトロ日比谷線・JR常磐線・つくばエクスプレス「南千住駅」より徒歩8分