明治時代に三菱第三代社長である岩崎久彌の本邸として建てられた「旧岩崎邸庭園」。
現在は、国の重要文化財に指定されています。
実は、一般にも解放されており、貴重な室内や庭園を見学できるんです!
今回はそんな旧岩崎邸庭園に足を運び、まるで明治時代へタイムスリップしたかのような雰囲気を楽しんできました。
国の重要文化財に指定されている都立庭園

旧岩崎邸庭園は、明治29年に岩崎久彌氏の本邸として建てられました。
岩崎久彌氏は三菱財閥の礎を築いた実業家・岩崎彌太郎の長男で、三菱の第三代社長を務めた人物です。
現在は洋館・和館・撞球室の3棟だけですが、建築当時は1万5000坪もの広大な敷地内に20棟の建物が並んでいたんだとか。
当時ではかなり大きな建築物であったことが分かりますね。
戦後、GHQに接収されてしまいましたが日本へ返還され、国有財産となりました。その後、国の重要文化財にも指定され、今日まで大切に保護されています。
入館料は一般400円ですが65歳以上だと200円、団体割引や年間パスポートもありますよ。
それではさっそく中に入ってみましょう!
イギリスやイスラムの様式を取り入れた重厚感溢れる建築

旧岩崎邸庭園の魅力はなんといっても、重厚感溢れる建築です。
ジョサイア・コンドルというイギリスの建築家によって設計ました。
館内の写真は撮影NGでしたが、どの部屋にもふかふかの絨毯が敷き詰められており、暖炉が完備されているのが印象的でした。
また、学習室や客室など用途によって部屋が細かく分かれており、壁紙もそれぞれ異なるものが使用されています。
「この洋館にさまざまな人が訪れ、パーティーが開かれていたのだな」と想像できるほど。
旧岩崎邸庭園に使用されている木材は非常にデリケートで、柱などを触るのも禁止されています。
また、館内は土足厳禁で、靴下が必須です。靴下を忘れてしまった場合は貸出もあったのでスタッフの方に声をかけてみてくださいね。
紅葉も色づき出した芝庭

旧岩崎邸庭園には、美しく整備された芝庭が広がっています。
芝生の中に立ち入ることはできませんが、道順が整備されているので庭園の隅々まで楽しめますよ。
上野・湯島エリアとは思えないほど緑が豊かな空間で、都内にこのような場所があるのかと驚きました。つかの間の休息時間に訪れると、リフレッシュできるはずです。
また、取材したのは10月の初めでしたが、紅葉が色づき出していました。季節によって移り変わる庭園の姿を楽しみに訪れるのもステキですね。
当時の雰囲気を感じさせる美しい建築

旧岩崎邸庭園は、世界のさまざまな装飾を取り入れられています。
1階にある柱は古代ローマ建築に見られる「トスカナ式」を採用している一方で、2階の柱には古代ギリシャ建築の「イオニア式」が使われています。
他にもイギリス製のタイルや、世界中のモチーフを取り入れているため唯一無二な雰囲気を感じられます。
世界に開かれた明治時代らしさを感じられる洋館ですね。
和館は書院造りを基調としている

和館も建築されており、日本らしい和洋折衷の雰囲気を楽しめます。
和館は岩崎久彌の家族が実際に居住しており、当時は550坪と洋館よりも広大だったそうです。
現在残っているのは大広間の1棟だけですが、伝統的な書院造りを貴重としている和館はどこか落ち着く雰囲気を感じさせます。
和館の中にはお茶を楽しめる茶室や、お土産コーナーも併設されていました。訪れた際は、ぜひ足を運んでみてくださいね。
コンドル設計の撞球室

旧岩崎邸庭園には、ジョサイア・コンドル設計の撞球室(ビリヤード場)が併設されています。洋館から少し離れた位置にありますが、なんと地下通路で繋がっていたそうです。
当時の紳士にとってビリヤードは嗜みの1つとされていましたが、旧岩崎邸庭園のように別棟で建てられているのは珍しいと言われています。

撞球室の中はスイスの山小屋をイメージしており、当時の日本では非常に珍しいデザインでした。中には貴重な金唐革紙の壁紙が貼られており、大きな屋根や柱の刻印など細部にまでこだわっていることが分かります。
魅力的なスポットが多い台東区上野エリアですが、一歩足を踏み入れると重要な文化財を楽しめる空間が広がっています。
ぜひ、タイムスリップしたかのような空間で、歴史の風を感じてみてくださいね!
旧岩崎邸庭園
住所:東京都台東区池之端1−3−45
アクセス:東京メトロ千代田線「湯島駅」から徒歩約3分
東京メトロ銀座線「上野広小路駅」から徒歩約10分
都営大江戸線「上野御徒町駅」から徒歩約10分
JR山手線・京浜東北線「御徒町駅」から徒歩約15分
TEL:03-3823-8340
営業時間:9:00-17:00
駐車場:車椅子や身体障害者用駐車場1台