【荒川区南千住】航空機を展示する科学技術展示館

大空を羽ばたく大きな飛行機を間近で見てみたいと思いませんか?

今回は、開館日が年に10回程度の、荒川区にある知る人ぞ知る文化施設「科学技術展示館」を紹介します。

数少ない一般公開日を狙ってレッツゴー

目的の場所は、南千住を囲うように流れる隅田川近くに立地する東京都立産業技術高等専門学校の敷地内にあります。

ちなみに“高等専門学校”とは、5年制のカリキュラムで専門分野の技術者を育成する学校のこと。

こちらの科学技術展示館では歴史的価値のある貴重な航空機の数々を見学することができます。

一般公開が年に10回前後だけということで、スケジュールを合わせないとなかなか訪れることができないレア度が高い博物館です。

開館日は、特定の曜日などで決まっているわけではなく、9月20日の「空の日」、12月17日の「ライト兄弟初飛行の日」など、航空機にゆかりのある記念日にあわせて開館し、一般公開されます。

隅田川近くの広々としたエリアにある科学技術展示館

電車で行く際、最寄りの駅は南千住駅です。歩いて15分ほどのところ。駅からはバスも走っていて、バス停は校門の目の前にあります。

この付近は高層マンションや公園、広場などがあり、車道の幅も広く整備されていて、下町でありながら空を広く感じられるエリアです。

学校の校門をくぐるとすぐ右手に見える近未来的な三角形の建物が目的の展示館です。

入り口には「一般公開中」の看板が設置されています。

観覧料は無料で、開館時間は10時から15時まで。

訪れた平日の午前中は、お客さんはだいたい10人ほどいました。

一人で来館しているお客さんが多いようでしたが、家族連れの姿もちらほら。

ちなみに、室内には空調設備がないので、冬の寒い時期は暖かい服装で、夏の暑い時期には涼をとれるように準備して出かけることをおすすめします。

見ごたえたっぷりの航空機がぎっしりつまった施設

普段は学校の教材として使用されている飛行機、ヘリコプター、航空用エンジンや、人工衛星のミニチュア模型、NHKロボットコンテスト出場ロボットなどを保存、展示しています。

教育的、歴史的に価値のある航空機が、格納庫のような雰囲気のある建物に観覧しやすいように駐機されていて、まるで飛行場にいるようです。

学生の教材としてだけでなく、世間にも貴重な航空機の認知を広めるべく一般公開を実施しているといいます。

国内でも有数のコレクションで、日本航空協会から戦後航空再開時の国産航空機群として重要航空遺産の認定を受けています。

戦後に生産された航空機の数々

シルバーの外観でシンプルなデザインの東洋航空フレッチャーFD-25B。

天井から吊り下げられている機体は東洋航空フレッチャーFD-25A下は25B。

塗装が異なる二機を上下で見比べることができます。

かつて存在した航空機製造会社の東洋航空工業が、米フレッチャー社と1953年に技術提携して国産化した軽飛行機です。

約70年前に製作されていて、この当時は日本の航空機事業の成長が大いに期待されていたことでしょう。

クルマやバイク産業のように日本の航空機産業の存在感も高めていってもらうため、こちらで学んでいる学生さんたちも是非活躍してがんばってほしいですね。

軽飛行機「ビーチクラフトBONANZA 58」。

アメリカのビーチクラフト社が開発した機体で、初期モデルの飛行は1960年。初飛行から何十年も経っていますが、現在でも全世界で活躍する完成度の高い飛行機です。

こちらの機体は現在実習で組み立て中なのだそう。機体の脇に部品が取り外された仮展示の状態になっていました。

こういった機材を使って航空機の構造などを勉強しているんだなということが想像できました。

ヘリコプターも多数展示。

天井から吊り下げられていたのは「川崎・ベル 47D-1」。各国でライセンス生産されたヘリコプター。

他にも、1952年に初の国産ヘリコプターとして製作が進められましたが、防振対策などに手間取り実用化は見送られた「よみうり Y-1」なども展示されていました。

大きな機体で迫力満点のノースアメリカン F-86D。

アメリカのノースアメリカン社が開発したジェット機。アメリカ空軍などで全天候型要撃機として運用されました。航空自衛隊にも配備され、最大速度は時速1000キロ超。

航空機だけでなく、実物のエンジンも多数展示

写真は「アリソン J-33」。イギリス初のジェットエンジンをもとにアメリカが開発したエンジンで多くの機体に搭載されています。

このエンジンは、ロッキードT-33というジェット機に搭載されていました。

タービンエンジンのほか、ピストンエンジンなども多数展示されています。

学生の教材用としてはもちろん、一般のお客さんも内部を覗いたり写真を撮ったりしてエンジンの構造を熱心に見学していました。

荒川区にある「科学技術展示館」は、歴史ある貴重な機体の数々、充実した内容で見ごたえのある施設です。

大空へ希望を抱く名もなき航空技術者や製作者たちの熱意が伝わってきました。

公開日に合わせてスケジュール調整は必要ですが、航空機好きの方はもちろん、お子さんの社会科見学として利用されることもおすすめします。

科学技術展示館
住所:東京都荒川区南千住8-17-1
アクセス:JR常磐線、東京メトロ日比谷線「南千住駅」から徒歩約15分
TEL:03-3801-0145
営業時間:10:00-15:00(指定の開館日のみ)
定休日:開館日以外は休館

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。